笑顔の裏側に
教室に入ると、一つの人影があった。

それは私の席の前にあって。

その人影を無視して荷物をまとめる。

「待ってたんだ。戻ってくると思って。」

そう言って近づいてくる先生。

「何ですか?」

自分でも驚くほど冷たい声が出る。

先生が一瞬怯んだのが、分かった。

「こないだのこと、今日のこと、話そう。」

話すって何をいまさら?

さっきの2人の姿が全てを物語っているでしょう?

「話すことなんてありません。木下さんとそういうことだと思っていいんですよね?」

「違う!あれはただ…」

先生が必死に声を荒げる。

でも今の私には何も響かない。

「ただ?」

そう尋ねれば、先生は何も言わない。

「所詮、誰でもよかったってことですね。木下さんと…。」

「お前、それ本気で言ってるのか?」

先生が私の言葉を遮る。
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