笑顔の裏側に
怒りを含んだ静かな声に動揺してしまう。

誰でもよかったなんて思ってない。

先生はそんな人じゃないってわかってる。

「今までそんな風に俺のこと見ていたのか?俺の言葉も行動も全部嘘だったと…そう言いたいのか?」

先生が私に詰め寄ってくる。

「じゃあ、今日のことはどのように説明なさるのですか?」

冷静を装ってそう返す。

「それは…。」

「説明できないですよね。それで何を信じろと?それが先生の答えでしょう?」

どうして何も説明してくれないの?

こんなことが言いたいんじゃないのに。

ただ真実を知りたい。

先生の気持ちを知りたい。

「違う!」

先生の声が教室中に響く。

「何が違うんですか?木下さんを突き放すことだってできたはずです。でも先生はそうなさらなかった。それに彼女の気持ちにだって気づいていますよね?」

そう問えばまた先生は黙る。

ねえ、どうして何も言ってくれないの?

木下さんは先生のことが好きなんだよ?

それでも俺は私を好きだと…

愛してると…

そう言ってよ…。
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