笑顔の裏側に
しばらくすると、先生は静かに口を開いた。

「何を勘違いしているか分からないが、お前みたいに真っ直ぐ、頑張れない生徒だっているんだ。」

何それ…。

その言葉にショックを隠しきれない。

木下さんを庇うんだ。

私だって好きで頑張ってるんじゃない。

辛いけど…

苦しいけど…。

頑張るしかないんだ。

私にはその選択肢しか残されていない。

それなのにそんな簡単な言葉で片付けられてしまうの?

「そうですか…。やっぱりそれが先生の答えなんですね。よく分かりました。今までありがとうございました。さよなら。」

静かに言葉を捲したてる。

「待て!優美!」

もう名前で呼んではいけないのに。

後ろから叫ぶ先生に背を向け、教室を出た。

そのまま速足で下駄箱に向かい、昇降口を出る。

それを機に我慢していた涙が一気に溢れ出す。

ああ、もう終わったんだ。

これでもう先生を巻き込むこともない。

傷つけることもない。

これでよかったんだよね?

そう自分に言い聞かせる。

それでも涙は止まらなくて。

ただ冷たい夜風に吹かれながら、私は何度も涙を拭った。
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