笑顔の裏側に
歩side

風呂から上がると、ソファーで優美が眠っていた。

そっとその寝顔を覗き込めば、ほんのりと温かい安心感を覚える。

もう一度俺のそばに戻ってきてくれた。

また優美のそばにいることができる。

そのことを改めて実感させてくれ、安堵からか思わず顔が緩む。

お前も同じ気持ちでいてくれているか?

あいつの家を出た後、後ろから抱きしめられて、すごく驚いた。

行かないでと家の鍵も閉めずに俺を引き止めに来てくれた。

さすがに鍵を閉めないのは危険だけど、それだけ必死に俺のところにきてくれたと思うと、すごく嬉
しい。

そして優美が俺に甘えてくれた。

初めて自分から言葉にして伝えてくれて。

そのこともまたたまらなく嬉しかった。

髪をそっとなでれば、いつもと違うシャンプーの香り。

自分と同じ香りが鼻孔をくすぐる。

そのまま頬にキスをすれば、少しだけ優美が動いた。

起きたかと思いきや、そのまま寝息をたてている。

どうしようか?

このまま寝かせておいては風邪をひいてしまう。

俺は起こさないようにそっと優美抱きかかえ、寝室に向かった。

そしてベットにそっと降ろして、布団をかける。

今度は唇にキスを落とし、

「おやすみ。」

そう呟いて頭を撫でた後、俺は寝室を出た。

そうして俺は溜まった仕事を片付け始める。
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