笑顔の裏側に
俺はそう決めて、もう少しでベットというところで、優美の手をグイッと自分の方へ引き寄せた。

「キャッ!」

小さく声を上げて倒れそうになる優美を抱きとめる。

そして未だ状況を理解していない優美にキスをしていく。

そのままベットに押し倒してさらに深いキスをする。

優美の苦しそうな、だけど色ぽっい声にますます翻弄された。

優美が小さな手で押しのけてくるのを見てさすがにやりすぎたかと思い直し、離した。

涙目になりながら呼吸を整える優美を見て申し訳なくなった。

ただの俺の遊び心から始めたこと。

それが次第に理性が崩れて、俺の思いのままに優美を求めてしまっていた。

こんなんじゃダメだな…。

優美のことを大切にするって決めていたのに…。

「ごめん…」

そんな俺の言葉に小さく首を振る優美。

一度頭を冷やすために部屋を出ようと背を向けて歩き出そうとすれば、弱々しく俺の袖口が引っ張られた。

ふと振り向けば優美がベットから起き上がって、俺の袖口を掴んでいた。

「行かないで…」

今にも消えそうな消えそうな声とともに頰に零れ落ちた一筋の涙。

それを優美は誤魔化すように空いている方の手でサッと拭ったのを俺は見逃さなかった。

泣かせてしまった。

そんなはずじゃなかったのに…。

「ごめんな…。ホントにごめん。」

そう言って抱き締めれば、優美も抱き締め返してくれる。
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