笑顔の裏側に
「もう寝ような。安心して。何もしないから。」

そう言って俺は優美を離して、寝るように促す。

すると優美は素直にベットに入る。

俺もベットに入った。

隣に視線を向ければ、俺に背を向けるようにして横になっている優美。

怒らせたかな?

体を横に向け、優美を後ろから抱きしめる形になった。

後ろから手を回せば、優美の体がビクンッとはねる。

「優美、こっち向いて?」

そう言っても優美は微動だもしない。

そんなに嫌だった?

不安になるが、どうしようもなく、ずっと沈黙のままこの体勢である。

しかし何も言わない優美にどうしたらいいかと考えていると、ふと優美の体が少しだけ震えているように感じる。

まさか、怖がらせた?

そう思って咄嗟に回していた手を外して、ベットから起き上がる。

優美の様子を見ようと、覗き込めば、静かに涙を流していた。

「優美…。」

思わず声をかければ、優美は驚き、布団を頭から被ってしまった。

俺は布団を握る手に自分の手をそっと重ねる。

「急にあんなことして怖がらせたよな。嫌だったよな。ホントにごめん…。」

そう言っても優美はまた何も言ってくれなかった。

どんな言葉をかけたらいい?
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