笑顔の裏側に
そうして家に着き、朝食の支度を始める。

まずご飯を炊いて、カット野菜を袋から出す。

1度サッと洗い、大きすぎるレタスは手で千切った。

そして水を入れてフライパンを火にかける。

野菜が柔らかくなるまで煮た後、調味料を加えていく。

火を止め、炊飯器を見ると炊けるまで後20分ほど残っている。

どうしようかな。

時計を見ればもう8時半を過ぎている。

さすがに先生だってお腹空いてるよね。

「先生?まだご飯炊けてないんですけど、もう少し待っていただけますか?」

「うん。もう野菜はできたの?あと炊けるの待つだけ?」

そう言いながらキッチンに先生がやって来る。

「はい。ご飯を入れて少し煮たら出来上がりです。」

そう言えば先生はフライパンに蓋を開けて中身を見ながら、

「へえー。こういう使い方もできるのか…。」

と感心している。

これは最終手段であって、普通はこんな風には使わないんだけど。

だから見た目は悪い。

色があんまりないし、何より野菜が葉物ばっかりだ。

唯一色が映えるにんじんも千切りで細すぎて微妙な存在感だ。

「ねえ、こっちおいでよ。」

いつの間にかソファーに戻っていた先生が手招きをしている。

私は何も考えずにソファーへ向かうと、突然手を引っ張られ、ソファーに身を投げ出すこととなった。

驚いて顔を上げれば、お腹に腕を回される。

私はすっかり先生の足の間に収まっていた。

「ちょっと!せんせ

私が抗議の声を上げようとするも、キスで遮られてしまう。

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