笑顔の裏側に
英語の長文読解が終わったところで、違和感を感じる。

このままそれぞれ別々のことをしてていいのかな?

朝ご飯の後から全然話してない。

ずっと2人とも黙ったままだ。

どうすればいいんだろう?

やっぱり迷惑だったのかな?

先生だって仕事を片付けたいよね。

真剣にパソコンと向き合う先生を見ると、いかにも自分の存在が邪魔な気がしてくる。

思い切って声をかけてもういっそのこと帰っったほうがいいのかな。

先生をぼんやりと見つめながら、思い悩んでいると、先生がふと顔を上げて視線が交わった。

何か言わないないと思う反面、なかなか言葉が出てこない。

なんとか口を開こうとすれば、

「集中できない?」

そんな言葉を言われてしまう。

「いえ…。」

開いた口は呆気なく閉じていく。

「どうかした?」

その言葉にも何も答えられない。

「優美?」

顔を覗き込まれて思わず声を上げていた。

「先生は今日もお仕事忙しいですか?」

「え?」

まさかそんなことを聞かれるとは思わなかったのか、先生が聞き返してくる。

やけに時計の秒針の音が響く。

時が止まったように2人して固まってしまっていた。

「やっぱり迷惑でしたよね。今日は帰ります。」

沈黙に耐えられなくなった私は手早く勉強道具を片付け始める。

「待って。」

そう言って、片付ける私の手を掴む。

その手に思わず顔を上げた。

「迷惑なんかじゃないって何度も言ってるだろ。」

「でも‥」

そう言いながら俯く。
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