笑顔の裏側に
「優美は今日も勉強しないといけないんだよな?今日は息抜きにするっていうのはダメか?」

先生の言葉に思わず顔を上げた。

「俺は今日中にやらなくちゃいけない仕事はないんだ。だから二人でゆっくり過ごせたらと思ったんだけど‥」

「いいんですか?」

私だってそのつもりで昨日泊まりに来たのだ。

でも先生も忙しいのに気を遣わせちゃったかな。

「優美。もっと甘えていいんだ。わがまま言っていいんだよ。」

そう言われて目に涙が浮かんだ。

安心できる居場所ってこんなにも温かいものなんだ。

涙を誤魔化すように立ち上がり、先生の側に行く。

「じゃあ、ギュッてしてください。」

そう言えば、先生も立ち上がって手を広げてくれる。

私は迷わずその胸に飛び込んだ。

心がじんわりと温かい。

先生の温もりが私を満たしてくれるようだった。

それから先生に抱き上げられてソファーに座らせる。

自然と向き合う形になり、そのまま吸い寄せられるようにキスを繰り返す。

呼吸が苦しくなって酸素を求めて、少し口を開けば、待っていたとばかりに先生の舌が入ってくる。

濃厚すぎるキスにとろけそうになる。

思わず漏れる声に先生のキスがどんどん激しくなっている気がする。

そしてついにソファーに押し倒された。

キスが唇から首の方に移動していく。

するとチクリと痛みが走った気がした。

でもそれを気にする余裕もないまま、キスがどんどん降り注がれる。

リップ音が響く中、突然、私に覆い被さっていた先生が起き上がった。

「これ以上はダメだ。止められなくなりそう‥」

そう言って、ソファーから降りた。

私もソファーから起き上がり、呼吸を整える。

大事にしてくれているんだと思った。

私を待ってくれているのだと。
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