笑顔の裏側に
ソファーに腰を下ろした先生の首に手を回した。

先生がこちらを向いた時に、そっと触れるだけのキスをする。

目を見開いて驚いていたが、再び濃厚なキスが降り注いだ。

「もう、ダメだって言っただろ‥」

そう言いながらも先生だってやめない。

だけどキス以上のことは絶対にしようとはしなかった。

すっかり心身ともに翻弄された私はソファーでぐったりしていた。

先生はというと余裕そうにソファーに寄りかかっていた。

先生の横顔をチラッと見るたび、私だけがいっぱいいっぱいで、大人の余裕を見せつけられているかのようだった。

悔しいような、手の届かない遠い存在のような。

それでもそばに居たくて、置いていかれたくなくて。

先生の腕に自分の腕を絡めた。

すると先生の足の間に、すっぽりと入れられ、後ろから抱き締められる。

何も話さなくてもただそばにいるだけで心地よくて。

後ろを振り返れば、先生と目が合って。

優しい眼差しが私に向けられていて。

心が満たされていく。
< 213 / 518 >

この作品をシェア

pagetop