笑顔の裏側に
どれくらいそうしていただろう。

いつの間にか先生は私を抱きしめたまま、ソファーに体重を預けて眠っていた。

ぐっすり眠っているのを見て、疲れているのだなと思った。

起こすのも申し訳ないなと思いながらも、時計を見ればもうすぐ1時。

お昼だって用意しないといけない。

でも食材が何もないのだ。

だからまず買い出しから。

そう考えるとそろそろ起きてもらわないととも思う。

どうしようかと思い、とりあえず先生の腕の中から抜け出そうと試みる。

しかしガッチリと腹部に腕を回されてビクともしない。

そんな私の動きに気づいたかのように、

「優美?」

少し掠れた声で先生が私の名前を呼んだ。

「あ、起こしてしまいましたね。そろそろお昼なんですけど、どうします?」

私の言葉にぼんやりと時計を見つめた。

「そうだな‥。よし出かけよう。」

そして私を腕の中から解放し、準備するように促す。

急いでカバンに必要なものを詰め、コートを羽織った。

先生もちょうど準備ができたようで、一緒に玄関に向かう。
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