笑顔の裏側に
すぐにお冷が運ばれてきて、先生からメニューを受け取る。

メニューを開けば、色鮮やかな和食料理。

どれにしようか迷うなと思いつつ、ページをめくっていくと、

「この店の料理はどれも美味いけど、釜飯とか肉じゃがとかがおすすめかな。」

そう言われて、そのページを開く。

釜飯はあさりや海老、たけのこなどいろいろな食材が入っていてとても美味しいそうだ。

これがいいかな。

先生もおすすめだって言っていたし。

「では、釜飯にします。」

私の言葉に優しい笑みを浮かべて、呼び出しベルを押した。

私の分まで注文してくれる。

料理が来るまでの間、しばしの沈黙が訪れた。

「このお店、すごく雰囲気がいいですね。よくいらっしゃるんですか?」

「うーん‥。遠いからそんなには来ないけど、たまに食べたくなる。和食だからかな。」

そうなんだ。

和食ってあんまり作らないけど、日本人の味って感じで、懐かしさを感じる気がする。

「お前は?和食好き?」

「好きですよ。」

そう言えば安心したように笑みを零していた。

思いの外すぐに料理が運ばれてきた。

1人用サイズの可愛らしい釜が来て、お吸い物なども付いている。

早速釜を開けてみると、ふわっとあさりの香りが漂う。

何より具沢山で見た目以上にぎっしり入っていた。

すごく美味しそう。

そっとかき混ぜて、ふわっとお茶碗にもった。

あさりや海老の旨味がよく出ていて、すごく美味しい。

たわいもない話をしながら、箸を進めていく。

先生は生姜焼き定食をあっさりと食べ切り、食べ切れない私の釜飯まで食べてくれた。

やっぱり男の人ってよく食べるんだなと感心した。
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