笑顔の裏側に
そしてお店を出て、スーパーに向かう。

今日の夕食の買い出しだ。

朝も昼もご馳走になってしまったため、夜はしっかりと私が作らなくてはと意気込んでいた。

スーパーに入って一番に野菜売り場に向かう。

きっと普段ちゃんと野菜を取っていないだろうから、今日は野菜たっぷりのスープにしようと考えていた。

人参や玉ねぎなど栄養バランスを考えてかごに入れていく。

野菜を入れたカゴを持っていると、カゴに先生の手が添えられた。

「俺が持つから。」

そしてそのまま奪うようにカゴを引き抜かれた。

「ありがとうございます。今日の夕食、ハンバーグでいいですか?何か違うものの方がいいですか?」

朝先生が言っていたハンバーグ。

でも今日は昼に生姜焼きを食べてるから、お肉じゃない方がいいかな?

「ううん。ハンバーグで大丈夫。」

その言葉を聞いて、精肉売り場に向かう。

「なんか夫婦みたいだな。」

そう呟いた先生に、

「そうですね。」

そう微笑み返す。

本当にそうなれたらいいなと思ったのは私の心の中だけの秘密だ。
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