笑顔の裏側に
「私も先生にwritingを見てもらっているの。昨日もその指導を受けるはずだっただけどね。」

優しく苦笑まじりに言った。

彼女はすっかり勢いをなくしていた。

「その場面だけ見ると、誤解されちゃうけど、本当に何もないの。」

真っ直ぐ目を見て言えば、

「分かった。ごめん、疑ったりして。」

気まずそうに謝ってきた。

「信じてくれるならいいの。でも‥その、木下さんって瀬立先生のこと、好きなの?」

まるで今知ったかのように恐る恐る尋ねてみた。

すると彼女は頰を赤く染めた。

「え‥。」

「あ、違ったならごめんね。」

その顔が明らかに好きだと言っていたけど、あえて否定するようなことを言った。

「違くて、いや違くないんだけど‥。ああ、えっと、誰にも言わないで欲しいんだけどね。私、瀬立先生のこと、本気で好きなの。」

焦っている様子から、言葉から本当に好きなのがわかった。

もちろん木下さんの気持ちは前から知っていたわけだけど、ここまで本気だとは思わなかった。

だけど、だからこそ。

その気持ちに今回はつけこませてもらう。

「そっか‥。もちろん誰にも言わない。それは約束するよ。」

「ありがとう。」

まだほんのりと頰を染めたまま、お礼を言われた。

「だけどその代わりって言ったらあれだけど‥」

私の言葉に木下さんが首を傾げる。
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