笑顔の裏側に
「さっきの写真、消しておいてくれる?万が一、さっきの写真が出回ったら、困るから。私も先生も。私は厳重注意で済めばいいけど、こんな大事な時に停学なんてたまったものじゃない。それに先生はきっと私より重い責任や処分がとられる。たかが私の貧血のせいで、熱心に指導してくれている先生に迷惑をかけるようなことはしたくないの。」

そう、本当にバレたら責任が問われるのは先生なのだ。

私じゃない。

私は生徒という立場で守られ、指導者の立場である先生が矢面に立たされる。

そのことを彼女にもしっかりと分かっていて欲しかった。

大好きで大切な先生が悲しむようなことはしたくないはず。

しかも自分の手でそれを下すなんて以ての外だ。

「確かにそうだね。先生が学校辞めさせられるなんて絶対に嫌。ちゃんと消す。」

そう言ってスマホを出して、目の前で手早く消してくれた。

それを見て、ホッと息を漏らす。

「ありがとう。」

そうして一時はどうなるかと思ったが、何とか丸く収まった。
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