笑顔の裏側に
私が落ち着いた頃、愛お姉ちゃんは先生の点滴を外しに行った。

私も片付けを再開した。

しばらくすると、私の荷物を持って愛お姉ちゃんがリビングに現れた。

「よしじゃあ、優美ちゃん。行きましょう。」

私は訳が分からないまま頷き、愛お姉ちゃんの車に乗せられて何処かへ連れて行かれた。

行き先を尋ねても着いてからのお楽しみと言われてしまった。

一体どこへ向かっているんだろう。

流れる景色を見渡しても、私の知らない建物ばかりが視界に入って全然検討もつかない。

そうしてある時、1つの駐車場に入っていた。

「ここって‥」

私の様子に満足そうに笑う。

そこは愛お姉ちゃんの病院だった。

「診療が終わったら、歩のところにまた行くから、それまでここで時間潰しててくれる?このまま優美ちゃんを帰すわけにはいかないから。」

そう言って私の荷物を1つ取られてしまった。

裏口から入り、休憩室のようなところに通された。

「ここで自由に過ごしてていいから。スタッフがたまに入ってくるかもだけど、私から言っておくから安心してね。」

それだけを言い残して、さっさと出て行ってしまう。

しっかり荷物の1つは持って行かれた。

しかも大きい荷物の方で、勉強道具が入っているスクバは私が持っていた。

これは確信犯だなと苦笑し、とりあえず勉強道具を出した。

writingの英語のノートが1番に出てきて、たまらなく泣きそうになった。

力任せに鞄に押し込む。

そして何事もなかったように数学の問題集を出した。

ただ問題の答えだけを考えていく。

途中でペンが止まって、余計なことを考えてしまうこともあったけど、懸命に振り払って問題を解き進めた。

愛お姉ちゃんに声をかけられるまで、無我夢中で勉強した。
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