笑顔の裏側に
そのままの態勢で暫くすると、ドアが開けられ、愛ねえが戻ってきた。

ノックぐらいしろよ。

心の中で文句を言うが、口には出さない。

自分でもイライラしていて、不安定なことはわかっていた。

「点滴、終わったわね。外すわ。」

手早く点滴が片付けられる。

そして先ほど同様、ベットの縁に腰をかけてこちらを見据えていた。

「あんたさ、優美ちゃんに余計なお世話だとか、帰れ、出てけって言ったんだって?」

愛ねえの静かな口調がまるで俺を責め立てているようだった。

気が立っている今、それが鼻につく。

「だったら何だって言うんだよ。」

愛ねえは腰を上げ、俺の前に立ちはだかった。

「何よ、その態度。こんだけ献身的に看病してもらっておいて、どの口がそんなこと言ってのよ!甘えるのもいい加減にしなさい!」

「うるせーな!だから望んでないって言ってんだろ!」

愛ねえの言っていることは最もだった。

だから余計に腹が立った。

止められなかった。

一度ヒートアップしてしまった感情はもう抑えられなかった。
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