笑顔の裏側に
次に目が覚めた時には、辺りは真っ暗だった。

今何時なんだろう。

確認しようと携帯に手を伸ばせば、何かが落下した。

時間は9時過ぎ。

落下したのは薬瓶だった。

拾って元の場所に置いたと同時にドアが開いた。

「起きた?具合はどう?」

入ってきた愛ねえに驚いた。

いつ来たのだろう。

その疑問は口にせず、渡された体温計を脇に挟みながら、

「だいぶマシになった。」

と答えた。

頭はまだぼんやりするが、頭痛はすっかり消えていた。

体温計の表示は、37.1度。

微熱にまで下がっていた。

「熱下がってきたわね。お粥も食べられたみたいだし、これなら解熱剤はいいかな。頭は?」

「もう平気。」

まだ体は少し怠いけど、自分の体を自力で支えられるくらいには回復していた。

「喉と咳の薬、頭痛薬、それから一応睡眠薬と安定剤も処方しておくから。今は、喉と咳の薬だけ
飲んで。」

水を渡されたので、言われた通りに飲んだ。

俺は大きく息を吐き出して、重い沈黙を破った。

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