笑顔の裏側に
ベットに座るように促す。

いざ、優美を前にすると何から言えば良いか分からなくて口を噤んでしまう。

重い沈黙を破ったのは優美だった。

「お粥、食べてくれたんですね。体調は大丈夫ですか?」

出てきた言葉は、俺を気遣うもので。

今朝のことを責めるような言動は一切なかった。

何で俺を責めない?

何とも言えない感情が込み上げてきて、胸が熱くなる。

「ああ、だいぶ良くなった。優美、その‥今朝は悪かった。あんなに懸命に看病してくれたのに、きつく当たるようなことを言って。」

「いいえ。」

首を横に振った。

「それから‥今まで何も聞かずにそばにいて、支えてくれてありがとう。俺はずっとそれに救われてた。」

俺の気持ちがちゃんと伝わるように、言葉を選びながら話す。

「私は先生のために、何ができますか?」

どこか遠くを見つめて呟くように、問いかけられた。

「もう十分してもらってるよ。」

そう言っても優美は首をふるふると横に振るだけだった。
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