笑顔の裏側に
怒鳴りすぎて喉がカラカラだった。

水でも飲もうと思って部屋を出た。

するとドアの横には、

「ごめん、心配だったから、悪いとは思ったけど立ち聞きさせてもらった。」

そう言って壁に寄りかかる愛ねえの姿があった。

「いいや。」

そう言ってリビングへ向かう。

テーブルに置いたままだったポカリを手に取った。

「体は平気?少し話せる?」

「ああ。」

愛ねえがココアを入れてくれた。

そうして俺たちは向かい合うように椅子に座った。

「優美ちゃんは?」

「疲れて眠ってるよ。」

「そう‥。今回ばかりはあの子にやられたわね。」

愛ねえは冷やかすように笑った。

優美の方が何枚も上手だった。

思い出してみれば、俺の言動はほとんど見透かされていたような気がする。

「優美ちゃん、本当にあんたのこと大切に思ってるのね。まさかあそこまであんたを愛してるなんて思わなかった。あんたにはもったいないくらい。」

「ああ。」

まさにその通りだ。

俺には勿体無いくらいの彼女だ。
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