笑顔の裏側に
そうして今日。

予想通り、神谷は俺の前に現れた。

テスト週間で生徒が帰宅するか、自習室で勉強するかの時間を見計らって。

「なんで来たのか分かるだろ?」

その威圧的な態度に俺も構えた。

「どうして優美を振った?本気で好きだったんじゃねえのかよ!」

声を荒げる神谷につられて感情的にならないように、静かに告げた。

「だからだよ。」

冷静な俺を見て、神谷が一瞬息を飲んだのが分かった。

「どういう意味だよ。俺が納得できるようにちゃんと説明しろよ!」

「優美の今回の傷は俺のせいなんだろ?」

問いかけても返事はなかった。

そこで違うと言ってくれたら、まだ引き返せるかもしれない。

そんな未練がましい想いが心にあった。

「俺の看病のために、優美は無断外泊をして、肋骨にヒビが入るほどの傷を負った。違うか?」

しばらくして観念したように神谷は言葉を発した。

「どうしてそれを知ってるんだよ?」

「昨日、お前らが話していたあの場に俺もいたからだ。」

そうすると全てを理解したように、頷く。

そして俺の本心を見透かしたように、低い声で言った。
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