笑顔の裏側に
「じゃあ、進路指導室に移動しようか。」

チラッと見上げると、いつも通りの先生が目の前にいて。

またしても泣きたくなった。

こんなにも未練がましく想っているのは私だけだと言われているようで。

先生は私と別れたことなんて気にも留めていない。

他の生徒と同じような扱いに、そんな考えが及ぶ。

それでも瞳にグッと力を入れて私も平然を貫く。

そして先生の後ろについて行った。

目の前の大きな背中を見つめれば、すごくすごく遠かった。

手を伸ばしても一生届かないような気さえした。

そのまま進路指導室に通され、向き合って席に着く。

そしてパソコンの画面を見せられた。

それは私のセンターの点数から割り出した合格ラインだった。

予想通り何も問題はない。

全てA判定だ。

「これを見て分かる通り、お前は志望校を変更しなくても十分合格するだけの可能性はある。志望校に変更はないか?」

「はい。」

画面を見ながら返事をする。

先生と目を合わせてさっきのように泣きそうになったら困るから。

今は進路の大事な話だ。

私情を持ち込んではいけない。

そう言い聞かせて何とか自分を保とうとする。

「センター利用もJ大でいいな?」

「はい。」

「お前の自己採点が正確なら絶対にJ大はセンター利用で受かる。マークミスなどがないかもその合否で判断できるから、結果次第でまた面談な。」

その言葉には返事はしなかった。

今日のようなことがもう一度あるなんて耐えられない。
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