笑顔の裏側に
そして高校生活最後の年では受験という大きな壁があった。

学校の授業は完全に受験対策に移行した。

そんな中でも、授業の合間に私たちを笑わせるような雑談や、私たちを気遣うような優しい言葉があった。

だけどこの1年、何よりも大きかったのは先生の存在だったと思う。

いきなり笑えてないとか、意味のわからないことを言ってきて。

私の心に土足でズカズカ入り込んで。

掻き乱すだけ掻き乱して、そしたら愛してるって私の心を包んでくれて。

たくさんすれ違った。

そんなときはちゃんとお互いに話し合って歩み寄ってきた。

優しさは温かくて心地よくて。

何より一緒に居られる時間は大切で。

それなのに‥。

いつのまにかどうにも修復できないほどの距離ができていた。

いったいいつから心はすれ違っていたんだろう。

どこからやり直したら、元に戻れるのだろう。

掛け違えたボタンのように、間違えたところまで外してもう一度そこからやり直せたらいいのに。

そう願っても、もう叶わない。

涙が答辞の紙にシミを作った。

無意識のうちに泣いていたようだ。

一気に最後の言葉を読み上げ、封筒にしまう。

そして校長先生に渡した。

席に戻りながら、みんなのすすり泣く声が聞こえた。
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