笑顔の裏側に
朝方物音で目が覚めた。
きっとお母さんが帰ってきたのだろう。
慌てて飛び起きて、静かに1Fに降りた。
どうやらシャワーを浴びているらしい。
その間に私も身支度をする。
そしてリビングでお母さんを待った。
ドアが開く音を聞いて、勢いよく振り返る。
「お母さん。」
「何よ。朝早くから。」
鬱陶しそうな表情に一瞬怯む。
だけどちゃんと伝えたくて拳をギュッと握りしめた。
「あのね、私、T大の医学部に合格したよ。」
「そんなの知ってるわよ。何度も言わなくていいから。で、用はそれだけ?」
冷たい言葉に心が一気に冷えていくのを感じた。
合格証と入学書類が入った封筒を持つ手が小刻みに震え出す。
「えっと、その‥」
頭が真っ白になり、次の言葉が出てこない。
とりあえず持っているものを差し出した。
「入学手続きの書類か‥。今は書いている時間はないから、あとで書いて私が出しておくわ。」
無造作に封筒を引っ張られ、空になった手が行き場を失った。
茫然と立ち竦む私を放ってリビングを出て行ってしまった。
開け放たれたドアから自室に行くのが見えた。
そこでもう会話は終わったのだと実感する。
おめでとうの祝いの言葉も。
頑張ったねという労わる言葉も。
私を認めてくれる言葉は何一つなかった。
ただ事務的で無機質な会話だけ。
ああ、私は何のために頑張ってきたのだろう。
そんな考えが浮かび上がった瞬間、全てが壊れていくような気がした。
覚束ない足取りでリビングを出る。
するとちょうどお母さんが自室から出てくるところだった。
きっとお母さんが帰ってきたのだろう。
慌てて飛び起きて、静かに1Fに降りた。
どうやらシャワーを浴びているらしい。
その間に私も身支度をする。
そしてリビングでお母さんを待った。
ドアが開く音を聞いて、勢いよく振り返る。
「お母さん。」
「何よ。朝早くから。」
鬱陶しそうな表情に一瞬怯む。
だけどちゃんと伝えたくて拳をギュッと握りしめた。
「あのね、私、T大の医学部に合格したよ。」
「そんなの知ってるわよ。何度も言わなくていいから。で、用はそれだけ?」
冷たい言葉に心が一気に冷えていくのを感じた。
合格証と入学書類が入った封筒を持つ手が小刻みに震え出す。
「えっと、その‥」
頭が真っ白になり、次の言葉が出てこない。
とりあえず持っているものを差し出した。
「入学手続きの書類か‥。今は書いている時間はないから、あとで書いて私が出しておくわ。」
無造作に封筒を引っ張られ、空になった手が行き場を失った。
茫然と立ち竦む私を放ってリビングを出て行ってしまった。
開け放たれたドアから自室に行くのが見えた。
そこでもう会話は終わったのだと実感する。
おめでとうの祝いの言葉も。
頑張ったねという労わる言葉も。
私を認めてくれる言葉は何一つなかった。
ただ事務的で無機質な会話だけ。
ああ、私は何のために頑張ってきたのだろう。
そんな考えが浮かび上がった瞬間、全てが壊れていくような気がした。
覚束ない足取りでリビングを出る。
するとちょうどお母さんが自室から出てくるところだった。