笑顔の裏側に
「美沙さんに私の家に泊まるって言ったの?」

いくら幼馴染とは言え、男と女だ。

しかも一応付き合ってる。

一体どこまで美沙さんは知っているのだろう。

「それは流石に反対されると思って、男友達ってことにしてある。」

だから許可したわけか‥。

「家で何かあったの?」

大きく息を吸って一番気になっていたことを尋ねた。

「何もない。変わらず良好だよ。」

その答えに嫌な予感が頭を過った。

「ならどうして急に?私ならもう大丈夫だよ。」

今までだって週に一度は泊まってくれて。

土日もどちらかは必ず家に来てくれる。

それに少しずつだけど眠れるようになってきていた。

「急じゃない。ずっと考えていたことだった。それにまだ‥大丈夫じゃないだろ?」

「もう大丈夫だよ。夜だって寝られるようになった。」

そう言えばため息を吐かれて、立ち上がって鞄を漁り出した。

そして袋に入った何かを見せられた。

それを一目見た途端、ドキリと心臓が嫌な音を立てた。

背中に冷や汗が伝ったのが分かった。
< 373 / 518 >

この作品をシェア

pagetop