笑顔の裏側に
そうして悠と生活が始まった。

家事は2人で分担しようと言ってくれたものの、ほとんどやったことない悠がやるのは大変そうで。

結局、私がほぼやっている。

悠はゴミ捨てとお風呂掃除のみ。

気が向いた時に夕食を作ってくれる。

それだけでも助かっているので特に不満はない。

何より毎晩一緒のベットで眠ってくれているだけで私は十分だった。

おかげで夜はぐっすり眠ることができている。

なかなか寝付けない日は、ずっと話し続けてくれて。

自分だって眠いはずなのに、絶対に先に寝落ちたりはしなかった。

だから私は大学に間に合うギリギリの時間まで悠を寝かせておくことにしている。

私の体が休まる分、悠の体が疲れてしまうなんてことは絶対に避けたい。

今日もまた朝ご飯の準備ができたところで、悠を起こしに行く。

朝が弱い悠を起こすのは結構大変だけど、それもまた幸せだった。

バタバタと悠が準備をしていく中、私も片付けを済ませ、自分の準備に取り掛かる。

そして一緒に大学に行くというのが日常になっていた。

帰りはお互いにバイトがなければ、一緒に帰るという感じだった。

悠は塾講師、私は家庭教師として働いている。

本当は私も塾でバイトをするはずだったけど、塾はブラックで大変だからと悠に止められ断念。

だから私はのんびりと週2回、ある女子高生の家庭に出向いていた。

最寄駅から電車で15分。

悠は駅前の塾のため、時間が合えば、一緒に帰ることもある。

でもほとんど2人のバイトの曜日が重なることはないので、その時は駅まで迎えに来てくれていた。
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