笑顔の裏側に
次の日の朝。

いつもと同じように悠の腕の中で目を覚ます。

今週末は私の誕生日ということで帰らないと昨日の夜聞いた。

もうすぐ試験だからという言ったら、何の疑いもなく了承してくれたらしい。

部屋の掛け時計を見れば、もう7時。

昨日は遅かったせいか、随分ゆっくりと眠ってしまったようだ。

そっと悠の腕から抜けて、いつもよりさっさ身支度と家事をする。

そしていつもの時間に悠を起こしに行けば、そのままベットに引き摺り込まれた。

最初は驚いたが、こうしたことは何度かあり、もう慣れてきた。

ただ寝ぼけているだけだ。

そうして決まっていうセリフは、

「あと5分‥。」

私は5分間、抱き枕と化す。

だけどその後はすぐに起きるから不思議だ。

「5分たったよ。悠、起きて。」

するとぱっちりとした瞳と目が合う。

「おはよう、優美。」

「おはよう、悠。」

すると悠が飛び起きた。

「お前、今‥。」

驚いたように目を見開く悠に私も体を起こす。

「どうしたの?」

いつもと様子が違う悠を不思議に思う。

「笑ったよな!?」

肩を掴まれ、今度は私が驚く。

私が笑った‥?

笑えた‥?

自分ではよく分からなかったけど、悠がそう言うならそうなんだろう。

そのままきつく抱き締められる。

その肩は少し震えていて。

申し訳ない気持ちと感謝の気持ちが入り混じった両手で私も悠の背中に腕を回した。
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