笑顔の裏側に
少し遅めの昼食を済ませた後、悠は明日の予習をしていた。

毎日帰ってくると、次の日の予習をしている。

夏期講習は毎日あるため、とても大変そうだ。

そんな様子を横目に、私は洗濯物を畳む。

いつもよりも時間がかかってしまったが、まあ良しとしよう。

悠はまだ終わらないみたいだったので、少し早いけど夕食の準備をすることにした。

今日はカレーピラフ、レンコンと人参の素揚げ。

まずはレンコンとにんじんの素揚げから作っていく。

皮をむいて薄く輪切りにして油で揚げるだけ。

キッチンペーパーで油をとり、あとでレンジをかけるためにアルミホイルに置いた。

すると匂いと音につられて悠がキッチンにやってきた。

「めっちゃうまそう!食べていい?」

私が返事をする前に、もう口に入れていた。

「うまっ!」

その一言に笑みが溢れる。

夏は揚げ物が大変だけど、これくらいなら頑張ってみようかなとも思った。

「じゃあ、俺、夕食前に風呂掃除済ましてくるわ。」

そう言って洗面所の方に向かう背中を見送って、私もカレーピラフに取り掛かる。

しかし、入れる野菜とウインナーを切り終わって、さあこれから炒めるという時に重大なことに気づいた。

ピーマンがない。

買うのを忘れてしまっていた。

片付けられるものだけを片付けて、野菜を入れたフライパンには蓋をした。

そうしてカバンを持って洗面所に向かう。

そこでは、悠がちょうどバスタブの中を洗っていた。

「ピーマンを買い忘れちゃったから、ちょっと買いに行ってくる。」

「気をつけて行けよ。」

その言葉に返事をして、家を出た。
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