笑顔の裏側に
後片付けを手伝い、順番にお風呂に入る。

着替えはお母さんのものを借りた。

今日は3人で一緒に寝ることとなり、客間に布団を引いた。

しかしその時間を引き裂くように電話が鳴った。

お父さんとお母さんの表情は一変し、真剣なものになる。

お母さんが取ろうとした携帯をお父さんが奪い取って出る。

そのまま自室に行ってしまい、お母さんが慌てて追いかける。

私は部屋の前で立ったまま待ち、ドアが開いたときにはお父さんがスーツに着替えていた。

「優美、悪いけど‥

「呼び出しでしょ?行ってらっしゃい。」

そう言って玄関まで見送る。

その後はお母さんと2人きりになった。

2人で客間に戻って布団に入る。

そしてリモコンで照明を落とした。

しばらくすると、隣から小さく声が聞こえた。

「まだ起きてる?」

「起きてるよ。」

返事をしてお母さんの方を向くように、寝返りを打った。

するとお母さんはすでにこちらを向いていた。

「あの‥その、何っていうわけじゃないんだけど‥」

暗がりでもわかるほど、不安な表情をしていて。

「お母さん。」

そう呼べば、一瞬肩が強張ったように見えた。
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