笑顔の裏側に
ただでさえ、塾講師を週2回やっているのに、カフェのバイトを週2回追加だなんて、あまりにもハードすぎる。

バイトだけじゃなくて、大学の講義や課題もあるのに。

体調を崩さないか、とても心配だった。

バイトを減らせないのかを聞いても無理だと言われてしまう。

新人が決まるまでの間だけということらしいが、それは一体いつになるんだろう。

私が代わってあげたくても、カフェのバイトは私の家庭教師のバイトの曜日と重なってしまっているため、そうもいかない。

挙げ句の果てには、バイト先のカフェは家庭教師先の最寄駅と同じであるため、一緒に帰ろうとまで言われてしまった。

それなら安全だからと。

私の心配より、自分の心配をしてほしい。

切実にそう願うけれど、その日が来るのはまだまだ遠そうだ。

今日もまた家庭教師が終わってから、悠のバイト先であるカフェに向かう。

私のバイトが終わる時間の方が早いため、中で客として飲み物を頼み、次の家庭教師の予習をしながら悠を待っていた。

最初は乗り気ではなかったものの、働く悠の姿は新鮮でかっこよく、今ではそれを楽しみに来ていると言っても過言ではない気がする。

予習なんてそっちのけで見入ってしまうことがたまに‥いや、よくある。

ときどき目が合って慌てて逸らすけど、そのたびに微笑まれて目が合うのを待ってしまう自分もいた。
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