笑顔の裏側に
じんわり浮かんだ涙を乱暴に拭って、私もバイト先に向かった。

しかし悠のことが頭から離れなくて、大丈夫かな、倒れてないかなと心配が尽きない。

「先生、大丈夫?」

「え?あ、ごめんね。」

そのせいで、沙依ちゃんにまで気を遣わせてしまった。

今は私も同じくバイト中だ。

集中しないと。

気を引き締めていつも通り学校の復習を重点的にやっていく。

それからバイトが終わると、駅まで全速力で走る。

駅に着く頃には全身が熱くて、手先だけが異様なほど冷たくなっていた。

呼吸を整えながら、早足でカフェに向かう。

そしてドアを開けて一番に探すのは悠の姿。

だけど見つからない。

探しながら中へ進む私に近づいてきたのは越川先輩だった。

「あんな状態でバイトに来させるなんて信じられない。悠くんの体調が悪いのに

「悠はどこですか?悠はどこにいるんですか?」

先輩の言葉を遮って、勢いよく捲したてる。

騒がしい声を聞きつけたのか、

「優美ちゃん、待ってたんだ。今日は早かったんだね。神谷ならこっちだから。来て。」

マスターがカウンターから声をかけてくれた。

その言葉に返事もせずに急いでカウンターの方に向かう。

するとカウンターの中を通されて、厨房に入った。
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