笑顔の裏側に
そして何とかベットまで連れて行き、コートを剥ぎ取る。

水分だけ取らせたあと、布団を掛けた。

するとすぐに先ほどと同じ寝息が聞こえてきた。

なるべく音を立てないように、玄関に置きっぱなしだった荷物をリビングに運んだ。

荷物はそのままに、救急箱とタオルと洗面器を持って自室に戻った。

服のボタンをいくつか外し、呼吸を少しでも楽にできるようにする。

ついでにタオルで首筋の汗も拭き取った。

そして冷却シートを外し、同じように汗を拭き取った後、新しいものに張り替える。

そうすると、冷たくて気持ちが良かったのか、悠の表情が少しだけ和らいだ気がした。

汗をタオルで拭くたび、タオルがどんどん緩くなっていくのを感じて、心配になる。

だから悪いとは思ったものの、体温計を挟ませてもらった。

鳴った瞬間、すぐに取り出せば、表示を見て思わずベットの上に落としてしまった。

もう一度確認するけど、間違いない。

40度越えだ。

慌てて自室を出て、保冷剤を用意する。

冷たすぎないようにタオルで包み、また自室に戻った。

そして起こさないように注意しながら、頭をゆっくりと持ち上げて、首の下に保冷剤を置いた。

そして布団をめくり、両脇にも同じように保冷剤を入れる。

これで少しは下がるといいんだけど。

手を握ってそう願うけど、握った手はいつもよりも遥かに熱い。

荒い呼吸でぐっすりと眠る悠をしばらく見つめた後、部屋を後にした。

そして定期的に様子を見ながら、全ての片付けが終わった後、私はベットの前に座り込んだ。

タオルで汗を拭いた後、悠の手を握って、私もベットに頭を預けた。
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