笑顔の裏側に
手に力を感じて、目を覚ました。

頭を上げれば、

「あ、起こしちゃったか。ごめん、ちょっとトイレ行きたくて。」

それを聞いて手を離す。

ベットから降りる様子を見れば、1人でも大丈夫そうだ。

流石にトイレまでは着いていけないななんてぼんやり思いつつ、今のうちに色々準備しないとと私も立ち上がる。

着替えを出して、保冷剤と洗面器を回収して、リビングに戻る。

そして新しいタオルを濡らし終わったところで、ちょうど悠がトイレから出てきたので、タオルを渡し、着替えるように伝えた。

保冷剤を新しくして、ポカリを持って部屋の前でノックする。

「入ってよくなったら言ってね。」

リビングに置きっ放しだった携帯で時間を確認すれば、まだ4時だ。

だいたい5時間くらいは寝たのか。

少しは熱が下がってくれるといいんだけど。

終わったとの声が聞こえたので、ドアを開けて部屋に入る。

ベットに座る悠にコップを渡してポカリを飲ます。

そのあと体温を測れば、39.6度。

ほんの少し下がったけど、まだまだ高熱だ。

「何か食べられそう?」

「うーん‥まだいいや‥。」

しかし悠は昨日からまともに食べてないのだ。

朝は1口サイズの小さいおにぎり2つ。

昼は飲むタイプのゼリー。

夜は私が知る限る何も口にしていない。

できたら何かを食べてほしい。

「すりおろしたりんごとか、ゼリーも無理そう?」

一応聞いてみる。

「まあ、りんごなら‥。」

「ちょっと待ってて。すぐに持ってくるから。」
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