笑顔の裏側に
私が言わせたようなものだけど、悠の気が変わらないうちにと、急いでりんごを剥いてすりおろした。

器に入れてスプーンとともに持っていく。

ベットに寄りかかって、上半身だけ起こしている悠の前にスプーンで掬って差し出した。

口を開けるので、食べさせてあげる。

何回かそれを繰り返した後、

「ありがとう。悪いけど、もう‥。」

まだ残った器の中身を見ながらそう言う。

「気にしないで。小さ目に切ったんだけど、すりおろしたら、意外に量増えちゃってね。少しでも食べられてよかった。」

食べられたらと思って少し多めに作ったのだ。

だから残ることも十分想定していた。

黙ってしまった悠に横になるように促す。

「さあ、もう一回寝て。明日1日ゆっくり休めば良くなるから。」

「やっぱ明日は無理か‥。」

ポツリ呟く悠の頭を撫でた。

「明日は実験もないから、特に問題ないでしょう?悠の分も代返してもらっておくから。」

それに明日は金曜日だ。

お互いにバイトもないし、土日もゆっくり休める。
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