笑顔の裏側に
それから悠は眠ったのを確認した後、私は動き出した。

そばにいられないのなら、そばにいなくても大丈夫なように万全を期せばいい。

悠が1人でも困らないように、抜かりなく準備をすればいいのだ。

とりあえず食べられそうなものを準備する。

冷蔵庫の中身を確認する。

今日が買い物の予定だったから大したものは入ってないけど、何とかなりそうだ。

先程のリンゴの残りとこないだ薬味に使った残りの生姜をすりおろす。

そして鍋にかけて蜂蜜を入れる。

その時に加熱しすぎないように注意する。

冷ましたらそれを2つのコップに分けて、ラップをして冷蔵庫にしまった。

あとは悠が飲みたい時にお湯を注げばアップルジンジャーの完成だ。

次にお粥を作り、アップルジンジャーとお粥の温め方をメモに書いておく。

そのメモとともに、冷却シートや薬、飲むタイプのゼリーを机に置いた。

そして着替えとタオルを余分に出しておき、自室の机に置いておく。

これでできることは全部かなと1つ1つ確認したところで、携帯を見ればもう7時半過ぎ。

コンビニに行くことをメモに残し、急いで買いに行く。

ポカリはもちろんのこと、ゼリー、プリンなど食べられそうなもの、のど飴まで買う。

マンションに急いで戻ると、まだ悠は眠っていた。

買ってきたものを片付け、そのこともメモに付け加えておく。

全ての準備が整った時、今度は私は自分の準備を始めた。

そして大学に行く前にも、小さな手紙を書く。

それを置きがてら、様子を見に行くと、ぐっすりと眠っていた。

ベットサイドに手紙を置き、悠の手を握った。

行く時間が迫ってきて、手を離す。

頭をひと撫でした後、

「悠、行ってくるね。」

小さくそう呟いて、後ろ髪を引かれる思いで部屋を出る。
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