笑顔の裏側に
そして私は再び大学に戻り、講義を受ける。

少し講義時間に遅れてしまったが、美憂たちに学生証を預けていたので、遅刻にはならなかった。

午前中と同様、講義内容の半分も聞いていないまま、やっと全ての講義が終わり、教室を飛び出す勢いで帰る。

マンションに着いて一目散に自室に向かえば、悠が静かに眠っていた。

「ただいま、悠。」

小さく声をかけ、部屋を出た。

コートを脱いで、悠の着替えた物を洗濯機にかける。

机の上に広げてあったものを片付け、再び悠の元へ戻った。

首筋に手を当てれば、だいぶ熱は引いたように感じた。

手を握って、それを自分の額に押し付けた。

¨1人にしてごめんね¨

¨もうずっとそばにいるからね¨

¨だから早く元気になって¨

心の中で話しかける。

「うん‥優美‥」

そんな声が聞こえて、慌てて悠の顔を覗き込む。

「優‥美‥」

「悠?」

声をかけても返事はない。

単なる寝言なのに、ここにいるよとでも言うように、つい握る手に力を入れてしまった。

「優美‥好き‥」

いきなりの告白にボッと頰が火照った。

もうやめてよ。

そういうのは起きてる時に言ってよね。

心の中で文句を言いながらも、緩む口元は正直だった。
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