笑顔の裏側に
それから約1時間後。

悠が目を覚ました。

しかしおかえりの次の言葉が、

「とりあえず風呂入りたい。」

だったものだから、

「はあ?」

と声を上げてしまった。

「何か、今日1日ですげー汗かいてて、身体中気持ち悪いんだよ。タオルで拭いても限界があるしさ。シャワー浴びたい。」

昨日もお風呂入ってないから、そろそろさっぱりしたいよね。

その言葉に頷き、水分を取らせている間に、お風呂場を温める。

脱衣所にストーブを運んで、スイッチを入れた。

そしてシャワーを出しっぱなしのまま、湯船に入れて、浴室内を温める。

自室に戻れば、ちょうど体温計を挟んでいるところだった。

「具合はどう?」

悠の隣に腰掛ける。

「だいぶ楽になった。」

「頭はまだ痛い?」

「ううん。もう平気。」

その言葉を聞いて安心する。

その時ちょうど体温計が鳴り、悠の手元を覗き込めば、37.3度。

もう微熱まで下がっていた。

「よかった‥。」

思わず出てしまった心の声に。

「心配かけたな。ありがとう。」

首を大きく横に振って、お風呂に入るよう誘導する。

「少しでも気分が悪くなったりしたら、すぐ出てね。あと湯船はダメだよ?」

しっかりと忠告をして脱衣所の扉を閉めた。
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