笑顔の裏側に
「もしかしてお粥じゃないものがよかった?」

食べられそうとは聞いたけど、何がいいかは聞かずに勝手にお粥を作ってしまった。

「いや、お粥でいいんだけど‥」

言葉を濁す悠にますます首を傾げる。

「昨日みたいに食べさせてくれないの?」

一瞬意味を理解できずに、ポカーンとしてしまった。

「昨日はあーんってしてくれたでしょ?」

そこで昨日のりんごを思い出す。

そういえば何にも考えずに食べさせてあげちゃってた。

昨日は熱が高かったし、ベットの上だったから余計に。

「もう仕方ないな。」

口では文句を言いながら、ちゃんとやってあげる私も私だ。

普段こんな風に甘えない悠だけど、風邪を引くと少しだけ甘えてくる。

それは昔から変わらないなと思う。

まあだいたいがプリン食べたいとか。

俺が寝るまで何か話してとか。

そんな感じだった気がするけど。

そういえば、私が悠の彼女になってから、悠が風邪を引くのは今回が初めてだ。

あんまり風邪引かないし、熱が出ることも少ないのに。

それだけ大学にバイトにって疲れが溜まっていたんだろう。

「ご馳走様でした。ありがとう。」

今回は完食だった。

ちゃんと食べられたことに一安心した。
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