笑顔の裏側に
「平気だよ。それより先輩に何か言われたんだろ?」

「私は悠に無理させてるの?」

その質問には答えずに質問で返した。

「何言ってるんだよ。そんなわけないだろ。」

「悠はこんなに‥私のことを大切にしてくれてるのに‥。私は迷惑ばっかりかけて‥悠のこと‥全然大切にできてない‥。」

ボロボロと零れ落ちる涙を丁寧に拭ってくれる。

「その気持ちだけで十分、大切にしてもらってるよ。」

優しい悠はそう言ってくれるけど。

思ってるだけじゃダメなんだ。

「私は悠のために何もしてあげられてない‥」

「いつも俺のために飯作ってくれて。風邪引けば看病してくれて。それで十分なんだよ。」

「でも‥」

悠は小さく首を振った。

「優美は知らないだろ?俺が優美のそばにいられることにどれほどの幸せを感じてるか。だから何もしてないなんて言うな。俺はお前がいてくれれば、それでいいんだから。」

悠の言葉に涙が溢れる。

でもきっと悠だってちゃんと分かってない。

私がその優しさにどれだけ救われてきたか。

大きくて温かい腕にどんなに安心できるか。

私の全てを包み込む言葉にどれほどの幸せを感じてるか。

「悠、いつもありがとう。」

「こちらこそありがとな、優美。」

お互いに見つめ合っていたとき。
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