笑顔の裏側に
ガチャンッ!バンッ!

大きな音が室内に響き渡った。

反射的に悠に抱きつく。

「大丈夫だからな。」

頭を撫でられる。

「何でこの子なの!悠くんの邪魔ばっかりしてるじゃない!」

越川先輩のけたたましい声が室内に響いた。

「口を慎んでくださいよ、先輩。」

さっきほどとは違い、低く鋭さを増した怒りのこもった声だった。

自分が言われてるわけじゃないのに、恐怖を感じる。

その一方で私に触れる手はまるで壊れ物を扱うように優しくて。

それだけで守られてるような錯覚に陥る。

「この子は悠くんを縛り付けてるだけじゃない。この子さえいな

途中から音が消えたと思ったら、またしてもガンッと大きな音が室内に響き渡った。

悠が机を蹴った音だった。

「黙れっつてんだよ!」

耳を塞がれていてもなお、悠の怒鳴り声が聞こえた。

「これ以上優美を傷つけるなら、容赦しねえ。さっさと失せろ!」

先輩はもう手を覆って泣いていた。

トボトボとドアに向かう先輩の背中は寂しそうで。

耳への圧迫感がなくなったと思った瞬間、悠が言葉を発した。

「勘違いしてるみたいだから言っておく。」

先輩が立ち止まった。

そのまま悠は先輩の背中に投げかける。
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