笑顔の裏側に
そして料理は綺麗に全て食べてくれた。

張り切りすぎて少し作り過ぎちゃったのに。

少し食休みしてからケーキにすることになり、先に洗い物をすることにした。

「休憩してて。」

そう言って、食器を重ねていると、悠も手伝ってくれた。

キッチンに持って行こうと立ち上がると、先に悠がお茶のペットボトルを持ってしまった。

「ペットボトルは、キッチンに置いておいて。」

「え?冷蔵庫に仕舞えばいいんだろ?」

「あ、そうなんだけど。今ちょっと物がいっぱい入ってるから、ケーキ出すときにしまう。」

我ながらよく思いついたと思う。

悠は不思議そうな顔をしていたけど、何とか誤魔化せたと思う。

バレないかヒヤヒヤしながら片付けを済ませ、お湯を沸かす。

お揃いのマグカップを取り出し、普通のインスタントよりは高級なコーヒーを入れる。

コーヒーの香りに釣られて、悠もやってきた。

「俺、ケーキ出すな。」

「あ、私出すから。悠は座ってて。」

だけど冷蔵庫に向かってしまう。

「ダメ!」

そう言ったときにはもう遅かった。

冷蔵庫の扉は開き、棚の上には白い箱が2つ並んでしまっている。

「あー、そういうことか‥」

その言葉を聞いて、バレてしまったことを確信した。

2つの箱がテーブルの上に並べられる。

そして箱を開け出した。

すると全く同じケーキが隣に並ぶ。

「まさかここまで被るとはな。俺ら以心伝心すぎる。」

そう言って笑う悠に釣られて、気づけば私も笑っていた。

「隠そうとしてくれてありがとう。今日と明日で、1つずつ食べような。」

頭を撫でられて、大きく頷いた。
< 476 / 518 >

この作品をシェア

pagetop