笑顔の裏側に
「ごめんね、変なこと言って。悠だって実家に

「優美にとって俺はもう必要ないってこと?」

私の言葉を遮るように、吐き出された言葉はどこか投げやりのような感じだった。

「え?そんなわけないじゃない。私はこれからも一緒に住みたいって‥」

私が話しているのに立ち上がってどこかへ行こうとする。

慌てて追えば、玄関にあったスーツケースを手にしている悠の姿があった。

「ねえ、待って。何するつもり?」

嫌な予感がする。

どうかそれを気のせいだと掻き消して。

「明日から実家に戻る。この部屋にはしばらく帰れない。」

そんな儚い願いも虚しく破れた。

そう言ってリビングにスーツケースを広げて私物をどんどん入れてしまう。

「お願い、話を聞いて。」

聞く耳を持たずで、手を動かしている。

仕方なく、そのまま話し出すしかなかった。

「戻って来ないかって言われたの。」

「だから俺に出て行って欲しいんだろ?」

「だから違うって言ってるでしょ!」

どう話せばちゃんと伝わるのかが分からない。

口を開けば開くほど、空回りしている気がする。

話の経緯は無しにして本心だけを伝えることにした。

「私は悠とこれからも一緒に暮らしたいと思ってる。」

「ねえ、悠は違うの?」

悠は何も言ってくれなかった。

「お願い、手を止めて。」

悠の手首を掴んだ瞬間。
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