笑顔の裏側に
そうして次の日。

朝、職員室で仕事をしていると、麻生が訪ねてきた。

やはりマスクをしている。

「瀬立先生、遅くなって申し訳ありません。三者面談の用紙です。この2日しか都合のいい日がなくて…。大変申し訳ありませんが、これで日程の方を組んでいただけますか?」

そう言って俺に用紙を渡す。

チラッと見ると希望日の欄が3つあるのに2つしか埋まってない。

それに時間は5時しかない。

医者が忙しいのは知っているが、娘の三者面談の時間がとれないほど、そんなに忙しいにだろうか?

「分かった。うまく組むよ。」

「ありがとうございます。」

麻生はそう言って頭を下げた。

せっかく話せたんだ。

この機会を逃してはいけない。

こないだのことも謝らないといけないし、あの頬の状態も気になる。

「麻生、昼休み、応接室に来てくれ。少し話がある。」

「分かりました。」

よかった。

しぶしぶ了解してくれたようだ。

「じゃあ、待ってるから。」

そう言うと麻生は会釈して職員室を出ていった。
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