笑顔の裏側に
「何にも知らないみたいだから、ちゃんと教えておくわ。本当はあんたも知っておくべきことだったんだからね。」

少し厳しい言葉が飛んできて、身を縮めた。

「まあ、私にも非があるから、そんなに言えないんだけど。」

そんな前置きから始まった話に、私は本当にただ悠に守られていただけだったんだと改めて気づかされた。

お母さんから聞かされたのは、私が思ってもみなかった話だった。

ゴールデンウィーク明けに、突然やってきた悠だったけど、実は私のお母さんの許可は取ってあったのだった。

最初は結婚もしていない男女がと反対していたけど、私の状況を知って、許可したとのこと。

お父さんには言ってないから、絶対に秘密だと最後に釘を刺された。

「本当に、愛されてるのね。」

その言葉には何も返せなかった。

だって気づいてしまったから。

¨優美にとって俺はもう必要ないってこと?¨

そう尋ねた悠の本心に。

その言葉の本当の意味に。

悠はスーツケースを持って尋ねてきたあの日からずっと。

ずっと私と一緒に暮らしていくつもりだったんだ。

なのに私はいつまでいてくれるのなんて聞いて。

挙げ句の果てには、戻ってこないかって言われたなんて言って。

そんなの、悠の存在を邪魔だと仄めかしているようなものだ。

何も知らずに放ってしまった言葉が悠の心を深く深く傷つけてしまったことに今更ながらに気づいた。

「大切にしなさいよ。」

お母さんの言葉に頷くことしかできなかった。
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