笑顔の裏側に
それからお父さんとお母さんにチョコを渡すため、病院に向かう。

連絡はしてないけど、どちらかには会えるだろう。

いつものように病院の裏口に着いてから、まずお父さんに電話をかけた。

「もしもし、優美?どうした?」

「お仕事中にごめんね。今少しだけ裏口に出て来られる?」

「あ、うん。今から行く。」

電話が切れて、しばらくするとお父さんが来た。

「ごめんね。忙しいのに‥。」

「ううん、平気だよ。」

そう言ってくれるけど、忙しくないわけないから、用事を手早く済ます。

「これね、お父さんに作ったの。よかったら食べて。」

お父さんたちは食べやすいトリフにした。

「ありがとう。」

嬉しそうに微笑んでくれるお父さんに、ホッとした。

もう何年も直接渡してないから、無意識のうちに緊張していたんだろう。

「あの、お母さんにも渡しといてくれる?」

もう一つ、同じ紙袋を差し出した。

「お母さん、さっき一度家に帰ったんだ。まだ家にいると思うよ。お母さんにも直接渡してあげなさい。」

その言葉に頷いて、手を引っ込めた。

「送ってあげられなくて悪いな。気をつけるんだよ。」

「お父さんもお仕事、頑張って。」

私を見送ってくれるお父さんと別れた後、実家へ向かった。
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