笑顔の裏側に
空いた手で涙を拭い、大きく深呼吸を繰り返して心を落ち着かせた。

そして口を開いた。

「ちゃんと話してくれてありがとう。改めて私の話も聞いてほしい。」

小さく頷いた悠を見て、思い出すように話し出した。

「確かにね、悠が言った通り、私は悠に物凄く感謝してるの。悠がいなかったら私は今ここにいないかもしれないし、お母さんともあのまま別れたっきりだったと思う。」

あの頃の私はボロボロだった。

お母さんに捨てられたと感じて、自ら命まで捨てようとした。

1人が怖くなって、眠れなくなった。

傷を背負って生きることが辛くなった。

「お母さんとちゃんと向き合えたことを、自分のことのように喜んでくれた悠を見て、思ったの。今度は私が悠の支えになりたい。力になりたい。今まで悠がそばにいてくれたように、悠が辛いとき、悲しいときは私がそばにいてあげたいって。」

悠に甘えてるだけの自分はもう嫌だった。

私だって悠のことを守りたかった。

もっと悠に頼られたかった。

悠の安心できる居場所に私もなりたかった。
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