笑顔の裏側に
「それから悠がカフェのバイトを始めるようになって。すぐに越川先輩が悠を好きなことに気づいた。悠を取られちゃうかもしれないって不安になって。その一方で、誰にも渡したくないとも思った。」

迷惑かけてばかりで、悠に何もしてあげられない自分に嫌気がさした。

だけどそのままでいいと言ってくれるあなたの言葉を信じたいと思った。

「頑張りすぎて熱を出した悠を看病したとき。やっと私も悠のために何かできるって思えた。いつもより少しだけ甘えん坊な悠を愛おしく思った。」

私にできることがあれば何でもしたいと思った。

悠の小さなわがままに、頼られている気がして嬉しかった。

「そのあとは越川先輩といろいろあって、フラッシュバックを起こして。すぐに悠が来てくれて、ずっと抱きしめて声をかけてくれたから、私は自分を取り戻すことができた。あの時悠は、私がそばにいて初めて幸せになれるって言ってくれたよね。それは私も同じなんだよ。悠がそばにいてくれるから私は幸せを感じられる。」

今回悠と離れてみて、それを深く実感した。

隣からすすり泣く声が聞こえてくる。

ハンカチを差し出して、少し空いた隙間をグッと詰めた。

ぴったりと悠にくっついて、肩を抱くようにして手を添える。
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