笑顔の裏側に
優美side

あの後先生とは何もないまま夏休みを迎えようとしていた。

お互いに気を遣って接している。

でも頭に思い浮かぶのは、やっぱりあの日のことで…。

頬を見られた時点でもうごまかすのは無理だと悟っていた。

でもだからといって先生に話すということにはならない。

本当はあの日先生に会いたくなかった。

でも三者面談の用紙を待ってもらっている以上、そんなに長引かせれいる訳にはいかない。

こんなに腫れて痣になってしまった頬はきっとすぐには治ってはくれないだろう。

だから意を決して先生のところに行ったのだ。

用紙を渡して、一言添えて。

それですぐに退こうと思っていた。

でも昼休みに呼び出しを受けてしまう。

断ることもできず、そのまま従うしかなかった。

あんな頬を見られて…。

どうすればいいだろうか?

もっとしっかりしていれば。

怒鳴られて体が硬直した。

頭が真っ白になって何も考えられなかった。
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