笑顔の裏側に

零れ落ちた大切なもの

今から11年前。

俺が高校3年のときだ。

俺には高1からずっと一緒に過ごしてきた友達が4人いた。

クールで無口な武藤湊人。

お調子者でいつも騒いでいる天谷匠。

しっかり者で優しい相川祐介。

そしてイケメンで秀才の東條要。

何をするのも一緒だった。

その中でも中学の時から仲良くしていたやつが1人だけいたんだ。

そいつが要だった。

そして俺の一番の親友だった。

でも高2の冬だっただろうか?

あいつが変わり始めたのは。

いつもの寄り道や休日の遊びも断るようになり、その後は俺たちから徐々に距離をおくようになった。

俺たちの方から駆け寄ってもやんわりと遠ざける。

理由を聞いても答えない。

ただ一言。

「俺はもうお前らとは違う。」

その言葉を聞いてからみんな要に腹を立て、一切要に話しかけなくなった。

もちろん俺もその一人だった。

いきなり自分は違うと言われてショックだったし、何より俺にまでも何も話してくれないことが悲しかった。

誰よりもずっと一緒に過ごしてきたのに。

そう思ってやけになって余計に避けてしまった。
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