笑顔の裏側に
「はい。」

今度は周りの音が聞こえない。

ということは今は落ち着いているのだろうか。

「月島学園の瀬立です。」

「娘を送っていただいてありがとうございました。」

「いいえ。あの、失礼ですが、今日何時ごろお帰りでしょうか?」

熱が思っていたよりも下がっていない。

このまま一人にしておくなんてできない。

「まだ家にいらっしゃるんですか?」

「はい。お邪魔しています。」

「すみません。お世話になりました。今日は帰れないんです。患者さんの容態が急変しまして。あの子は大丈夫ですので。もう夜遅いですし、先生もそろそろお帰りください。ありがとうございました。」

大丈夫?

どうしてそんなことが言い切れるんだ??

あいつは今、苦しんでるんだ。
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